維新を先導し、歴代最も多くの首相を輩出した長州の地。
人々は愚直なまでにまっすぐで、信義を重んじると言われます。
その地に根を下ろす安成工務店の歩みも、確かにあまりスマートなものではありません。
しかし、その不器用さこそが安成らしさだと私たちは自負しています。
これまでも。そして、これからも。
第一章 萌芽 ~長州人の正直・律儀~
安成工務店発祥の地 ―― それは、山口県の西北端に位置する豊浦郡豊北町(現・下関市豊北町)です。日本海に臨む、自然の風光ゆたかなところです。
創業者の安成信良は農家の次男でしたが、戦後焼け野原になった下関の町を見て、大工になることを決意、棟梁に弟子入りして厳しい修行を積み、昭和26年、22才で建設請負業「安成組」を立ち上げました。
もともと豊北町は、毛利家の御用をつとめた宮大工の出身地。阿川大工と呼ばれ尊敬された職人たちの、誇りと伝統が息づくところです。そんな気風の中で育った大工たちの仕事ぶりは馬鹿がつくほど正直で丁寧。横着などという言葉は辞書にはありません。営業活動も一切なし。
「正直に仕事をしていたら、仕事はある」これが、信良をはじめとする大工たちの信念でした。「正直者で律儀者」。安成組の仕事ぶりは、まさに長州人気質を絵に描いたようなものだったのです。