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【Press_release】木の家づくりを通じて学ぶ環境教育「森林体験ツアー」参加者5000人突破

木の家づくりを通じて学ぶ環境教育「森林体験ツアー」参加者5000人突破/林産地との連携により復活した伝統技術「輪掛け乾燥」も見学/地域循環型の取り組みでCO2削減にも貢献

福岡県を中心に地域の木や職人の技を生かした環境共生住宅を提案する株式会社安成工務店(本社:山口県下関市、代表取締役:安成 信次)では、今回で79回目となる森林体験ツアーを8月20日(土)に大分県日田市上津江町で実施、これまでの累計参加者が5000人を突破しました。

本ツアーは、当社が林産地と連携して行っている取り組みの1つであり、木の家づくりを通じ自然や環境について学んでいただくものです。ここでは森林体験ツアーに加え、上津江町との林産理連携により生まれた、材木(津江杉)の直接買い付けの仕組みや、伝統的な材木の乾燥技術「輪掛け乾燥」の復活について紹介いたします。
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■木の家づくりを通して学ぶ環境教育「森林体験ツアー」に多くの親子連れが参加

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当社では、1996年に日田市上津江町で100ヘクタールの「護持の森」を管理する株式会社トライ・ウッドと出会ったのをきっかけに林産地と連携した様々な取り組みを行っています。

1997年よりこの地でスタートした森林体験ツアーでは、キャンプや木工作、釣り、BBQなどのレクリエーションとあわせ、山林や製材工場を見学し、山の木々でつくる家づくりの工程の一端を学ぶことで、街の人々の暮らしに水や木々を通じていかに自然が結びついているかを学びます。
当社で住宅を建てられた方や、建築を検討中の方を中心に毎年多くの親子連れが参加しています。林産地を訪れ、森に入り自然に触れることで、人間の営みが「自然の一部」であること、木の家の良さ、更には森を育てる人々とのふれあいを通じて家づくりの意義まで考えていただく機会になっています。
8月20日(土)、79回目のツアーを実施し、これまでの累計参加者は5000人を突破しました。

※今回の開催では新型コロナ感染拡大防止の観点から、一部レクリエーションは中止し日帰りで行いました。

■林産地連携による地域循環の取り組み、安定した需要を生むべく地域工務店とも連携

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当社では、株式会社トライ・ウッドから上津江町の材木「津江杉」を直接購入しています。通常、工務店が材木を購入する場合、木材卸業者や材木業者を経由することになります。

工務店が直接取引するためには、国産材を使うための商品化や、一定量の安定したニーズをその森林に対して約束する必要があります。
そこで当社は1996年のトライ・ウッドとの出会いをきっかけに新建材から自然素材に切り替え、本格的に環境共生住宅に取り組み始めました。同時に、山から安定的に材木を購入するために、九州の工務店仲間とともに「九州木の家づくり協同組合」(現「(協)木の家の健康を研究する会」)を設立しました。輸入木材よりもはるかに良質な建築用の木が近くの山にあることに着目し、これらを理想的な健康住宅として届けるための合理的なシステムを地域ぐるみで作り出しました。
山から伐りだされた杉が都市部の住宅をつくり、都市部からもたらされるお金で山には苗が植わり、手入れがされ、更新されていきます。経済と森林資源でつくる地域循環の仕組みです。
木は若いものほどCO2を固定し酸素を吐き出す能力が高いため、手を加え、更新をし、再生を促すことでCO2吸収の効果を高めることにも繋がります。
トライ・ウッドとは…

上津江町はその9割を山林が占め、林業を基幹産業としています。この地で100ヘクタールの森林「護持の森」を管理し、山林伐採や製材などを行う株式会社トライ・ウッドは、高齢化する林業従事者の後継者育成、森林保全を図る目的で平成2年に創業しました。現代の「きやどん(森で働く人の意味)」として、森を守り伝統技術を維持しています。

■伝統的な材木の乾燥技術「輪掛け乾燥」が復活、木材乾燥時のCO2削減にも成功

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2006年よりトライ・ウッドでは九州大学にも協力を仰ぎ、「輪掛け乾燥」を復活させました。
「輪掛け乾燥」とは旬伐りした樹齢60年以上の杉材を皮つきのまま、山中の風通りがよく日当たりのいい場所で井桁に組み、1年間じっくりと天然乾燥させる手法です。この地で伝統的に行われてきましたが、高温乾燥が主流となり廃れていました。
太陽と風という自然の力だけで乾燥させるため、当初はその加減の調整が難しく、さまざまな失敗を重ねつつ製品開発を行い、2008年に初めて輪掛け乾燥による材木の出荷を実現しました。現在、5000㎡に渡って、1万本の杉の輪掛け乾燥が行われています。この技術で自然乾燥された材木の大半が安成工務店で構造材として使用されています。
「輪掛け乾燥」は自然の力だけで乾燥させ、人工乾燥と異なり石油を使わないため、乾燥工程においてCO2を排出しません。

当社ではその他にも新聞紙をリサイクルしたエコでクリーンなデコスファイバー断熱材の使用や、床の無垢材や壁の珪藻土仕上げ等を採用することで、建設時のイニシャルCO2を一般的な住宅と比較して12.3%削減することに成功しています。これは、1棟あたりCO2排出抑制量は4.5トンであり、40年生のスギの森5000㎡が1年間に吸収する量に相当します。

また、2012年からは、林野庁からの支援を得て、当社とトライ・ウッドで輪掛け乾燥材の調査・研究も行っています。これまでの研究結果から、横断面の含水率分布が均等であること、調湿機能・香り成分(揮発成分)・抗菌性能が優れていること、CO2排出量が抑制されていることなどが明らかになっています。伝統的な技術の復活だけでなく、その優れた性能までも証明しています。