社長ブログ

NPO法人 環境共棲住宅「地球の会」の設立経緯

今から16年前、PHP主催の全国の工務店を選別したセミナーがあった。集まったのは各県の錚々たるメンバーであった。年間200棟を超える住宅をつくる会社も複数社あり、しかも分譲ではなく木造のきちんとした注文住宅を建てている会社が多かった。

夜の懇親会でお互いの取組を話す中、林産地と連携し、あるいは大工を育成しつつ日本のあるべき家の姿を模索している各社の様子を聞くにつけ、同じ考え方で頑張っている会社がある事に勇気づけられた。そして、地域の工務店が林産地と連携し地域の職人を育てながら住宅をつくる。そのような産業の形態が未来の地域型住宅のあるべき姿であるという共通の思いの元で、継続して情報交換のために集まることを確認した。


愛知県の新和建設さんは、自社で100人の大工を養成し、年間200棟近く家づくりを行う会社で、吉村社長(現相談役)は大工の出身。吉村社長の音頭でNPO法人環境共棲住宅「地球の会」を設立することとなった。事務局を束ねる専務理事には吉村さんの知人で、マーケッターでもあり詩集を3冊出している詩人でもある佐藤善秀さんにお願いすることになった。

丁度、今年で15年を迎え、2代目の会長として4年目の総会をこのコロナ禍の728日にリアルな集合として迎えることとした。


15年前に比べ、国産材の木材でつくる木の家が当たり前になった事に喜ぶ気持ちと共に、地域の工務店力は減衰してきていることを感じざるを得ない。

これは、工務店という専門業態の技術やサービスが広く深い専門性を求められるため、ある程度の専門家集団でないと対応できない側面から、従前の小さな、町の工務店では対応力に差が出ることと、そのような会社の寿命が経営者の寿命と連動することが大きい。

もう一つは、大量生産大量消費の文化は今だ衰えを知らず、職人を必要としない石油由来の新建材はメーカーの性で勢いを増す現状がある。建材や住設機器の進化はそれ自体、大歓迎ではあるが、コロナをきっかけに安い国でものをつくり高い国で高く売る仕組みや、自国で作る人を育てない現状に大きな反省が生まれ、ものづくりと本物の価値を見直すきっかけになり始めたことはせめてもの喜ぶべきことであろう。

 工業化住宅は、それはそれでよし。地球の会が目指す、近くの山の保全再生をしつつ、健康にも良い自然素材の木の家を供給し続ける新住宅産業とそういった家づくりが更に認知周知され、家づくりの憧れまで昇華される未来は遠くないと信じたい。