「蛍遊苑」の大ホールと企業展示ルームは、杉材の変形トラスの架構をもった空間となっている。当初図面を見たときは、この複雑な架構をどう組み立てるのか?と相当不安になったものだ。問題は2つ。一つは品質の安定した乾燥した構造材が確保できるか?である。これについては大分県上津江村と取り組んでいる天然乾燥「綸掛け乾燥材」があるため、ほぼクリアーできると考えていた。実際、上津江村のストックヤードに泉さんをお連れし、しっかり材料の吟味を頂き、その質、量にお褒めの言葉をいただいた。
次にコンピュータでしか解析できない複雑な梁・桁架構の機械加工である。この近くでは超高度なプレカット加工に実績のある山佐木材㈱にお願いすることで解決を見た。
この建物は私たちのオリジナル工法である「デコスドライ工法」により次世代断熱基準をクリアするレベルの高断熱仕様を特徴としている。出来上がった躯体は、工事中にもかかわらず冬は暖かい木造建築の良さを最大限生かした建物となった。
長府の町に100年も200年も愛され生き続けるメモリアルな建物の企画と施工に携わることができた。泉幸甫さんの空間構成や壁の見せ方はやはり絶品であった。
安成工務店と協力業者さんたち、携わる全員が持てる力を発揮し、楽しく仕事をさせて頂いた。㈱長府製作所、川上会長、橋本社長を始めスタッフの皆さんにに心より感謝を申し上げます。