久しぶりに大分県日田市上津江町のトライ・ウッドに行ってきた。目的は九州木の家づくり協同組合の定例会議を行うためと、新たに導入された新減圧乾燥庫を見学するためである。
天然乾燥材「輪掛け乾燥」を行っている安成工務店のパートナー ㈱トライ・ウッドの乾燥システムには平成8年から行っている「中温乾燥」(60℃で25日間)と、おなじみの「輪掛け乾燥」(天然乾燥で1年間)があったが、この度、新たに九大の藤本先生と大島造船の共同開発である「減圧乾燥システム」が導入された。従来から減圧乾燥庫は存在したが、このシステムは減圧レベルを高めることにより7日間で乾燥が終了することが特徴で、高温を掛ける時間が6時間と短く、それから約3日減圧し、徐々に常温に戻す工程の乾燥システムである。特筆すべきは材料内の水分傾斜が一定でムラが無いため割れが極めて少なく、色艶も良く、高温乾燥の欠点をうまくカバーしているところのようだ。
なぜ、安成工務店が中温乾燥以下の温度での乾燥にこだわってきたか?それは木材の耐久性に悪影響を起こさないためには極力天然乾燥に近づけるほうが良いと考えるからである。
トライウッドの行った腐朽菌を用いた「強制腐朽における乾燥方法毎の部材質量実験」でも天然乾燥はほとんど腐らないが、高温乾燥では質量が35%も減少している。
今回の新減圧乾燥で乾燥した材の強制腐朽実験はまだ行われていないが、材料の切断面を見る限り相当良い結果が出ると思われ、実験がとても楽しみである。
久しぶりのトライ・ウッドの工場は前に増して良く片付けられており、綺麗で、働く人も材料もキラキラ輝く工場だった。