第三章 転機 ~愚直者の意地~
安成のよき伝統をふまえつつ、時代に即した会社へと生まれ変わる道を模索する中、、事件が起こりました。

町からの公共工事の指名ストップ。
原因となったのは町長選挙でした。先代が応援していた町長が落選し、当選した対立候補が報復手段として安成工務店を指名から外したのです。
いままで曲がりなりにもふるさとのためを思い、どんな時にも嘘のない誠実な仕事をしてきたという自負が私たちにはありました。
現場には必ず30分前に到着し、終わったあとは近隣の掃除をして、挨拶をして帰る。
「そんな工務店は他にないよ」と言われても、それがふるさとで生きていくということだと信じてやってきたのに、そのふるさとの仕事が、こんな、いわれなき迫害で、できなくなってしまったのです。
「よし、わかった。我々は民間工事で生きよう」
「本社を移そう」
50点でも100点でも同じ評価なのが公共工事だとしたら、民間は限りなく100点に近づかなくては認められない世界。
更に、長くお客様に必要とされなければ生き残っていけない。
より厳しいその世界に身を置くことを決意したのです。
一度決めれば、後ろを振り向かないのが長州人。悔しさをバネに仕事をすることにしたのです。