トライ・ウッドを訪れる4~5年前に隣町の小国町に大型木造建築物の視察に訪れた事がある。熊本県は1988年(昭和63年)、当時の細川知事がアートポリス構想を掲げて、有名建築家を起用したデザイン的に優れた「建築」の町おこしを実践しており、それらに呼応するかたちで小国町では木魂館や道の駅小国ゆうステーションや小国ドームなどの大型木造建築が建設され、あたらな地域資源の掘り起こしを行い観光客を集めており全国的に見ても進んだ地域としてのイメージがあった。
平成8年から、トライ・ウッドと安成工務店とは、林産地や伐採時期、そして山から材料を下ろして製材する人たちなどの顔が見える関係性の中で、吟味して家をつくるために、品質の向上やそれら安心の証明を行うための、一歩進んだ林産地連携を始めたわけである。
安成工務店はトライ・ウッドに出会った翌年から林産地連携の家づくりを始めた訳だが、全国的には平成13年(2001年)、OMソーラー協会を中心として「近くの山の木で家をつくる運動」が始まった。元旦の朝日新聞の見開き紙面に掲載された、近くの山の木で家をづくる運動千人宣言として2,271人の参同のもと人文字で山を作ったその中に自分の名前を探し出して新たな会社の方向性を俯瞰して嬉しくなったものだ。
トライ・ウッドが第三セクターであったことも幸いした。設備投資の手を止めず、よりよい製品を生み出すことにひたすら情熱をかけて頂いた。
柱・梁桁材としての集成材やトラパネ(幅はぎパネル)の開発、更には、「輪掛け乾燥」と命名した天然乾燥システムの構築など、お客さまのニーズを踏まえた私たちの要望にそう仕組みをつくって頂いた。
平成8年に開始した、「森林体験ツアー」も15年以上を経て、現在で春・秋の日帰りツアーと夏の1泊2日のツアーの3回が定着してきた。これまで40回以上、述べ2,700名を超える街に住む人々を山にご案内をすることができたことは、私たちの大きな誇りである。
林産地連携から始まった「木の家」づくりは、徐々に進化し自然素材率を高め、デザインを磨き、安成の家づくりのスタイルを確立する礎になった。